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浦井健治「“忘れないこと”が今、我々に託されたバトン」9.11の裏で起こった実話を基にしたミュージカル「カム フロム アウェイ」インタビュー

2001年9月11日に起きたアメリカ同時多発テロ事件の裏で起きた驚くべき実話に基づいた物語を舞台化した、ミュージカル「カム フロム アウェイ」が、3月7日(木)から上演される。トニー賞やローレンス・オリヴィエ賞など数々の演劇賞を受賞した本作は、100人近くの登場人物をたった12人のキャストで演じわけ、100分間ノンストップで展開していく。ケビンTなどの役柄を演じる浦井健治に本作に挑む思いを聞いた。

――まずは、本作のご出演が決まった時のお気持ちを教えてください。

キャスト12人の顔ぶれを見た時、よく集まったなと思うと同時に、その情熱を感じました。メインビジュアルとなっている集合写真を撮った時も、こういう時って大体、個々で撮影したものをまとめることが多いと思うのですが、そうではなかったんですよね。みんなで一斉に。つまり、全員でこのストーリーをお届けするという意味なのだなと。全員が主役。またもう一つとしては、作品のメッセージや醍醐味はキャスティングの段階からスタートしているのだなということも感じました。とにかく存在感というか圧がすごいんですよ(笑)。このメンバーが集まった時、それぞれが背負っているものの大きさや生き様を感じましたが、この作品にはそれが必要なんだと思います。そういう意味でも、今回、参加できたことはすごく幸せに思います。

――これほど豪華なキャストが集まることはそうそうないことですよね。

なかなかないと思いますし、このメンバーを束ねられる人がいるかといったら多分いない(笑)。それぞれでやる。ですが、それは今回のストーリーともリンクしているところがあると思います。それぞれの国籍や人種、環境を超えて人間はどうやって生きていくのか。希望を持っていくのか。引いては、その先の未来へどうやってつなげていくのかといったことが描かれている作品です。皆が同じ方向を向いていたらこういう奇跡も生まれるという願いも込めている。今の時代だからこそ忘れてはいけないものを、お客さまと共有できる時間になるのかなと思います。

――今作では、全員が何役も兼役するというのも見どころの一つです。

僕はケビンTをメインに演じさせていただきます。(田代)万里生くんが演じるケビンJとはカップルという設定ですので、面白く作っていけたらと思います。ケビンTは、ある会社の経営者です。島サイドで演じる、ガースはやはり人を束ねる立場なので、“責任者”というところでリンクする配役になっています。それもまた面白いキャスティングですよね。この出来事を経て、出会った人との関わりからの学び、そして生きる答えを見つけていくという点でもリンクしているのだと思います。それから、キャスト全員が一つの楽曲の中で何役も演じているシーンもあるのですが、その人物たちが一斉に話し出すんですよ。もしかしたら、お客さまはそれぞれのセリフを聞き取れないかもしれないですが、それがある意味でリアルですし、生活感を生んでいるように思います。突発的に起きた事件の中で放り出されてしまった人間に起きる感情や行動、実際に起こった出来事を目の当たりにするような感覚の作りやセリフが多いと思います。

――ニューファンドランドに降り立つ側のケビンTと、街の住民で降り立った人たちを受け入れる側のガースを演じ分ける難しさもあるのでは?

演出家が一挙手一投足、演出を付けていかないといけない難しい作品でもあると思います。ブロードウェイのセットをほとんど全て日本に運んで、そのまま上演しようとしているので。誰かのソロ曲があって、主演が誰でという作品ではなく、全員が役割を担っている。きっとそれはお客さまには新鮮に映るでしょうし、新しい発見、取り組み、視点になるのかなとも思います。

――実際に起こった出来事を描いた作品だからこそ、伝えたいことはありますか?

9.11に限らず、日本では阪神淡路大震災や3.11の東日本大震災、それから今もなお、世界で起きている戦争など、命を失う、もしくは親族や友人や仲間を失ってしまった方たちの想いは、メディアやSNSで情報を得ただけの自分には計り知れないものだと思います。僕が言葉を発することもおこがましく失礼にあたるくらい、当事者の方は悲しみを抱えて過ごしていると思うので、なかなか言葉にするのも躊躇してしまいますが…。でもだからこそ、これだけ面白く、楽しく、明るく、パワフルな楽曲とパッションに溢れる、希望に満ちた100分間のミュージカルに落とし込んだということにも意味があるのだと感じています。「それでも未来へつないで希望を持って生きたい」という願いが込められているのだと思いますし、作中のセリフにもありますが、「忘れないこと」が今、我々に託されたバトンなのかなとも思います。そして、この作品から学ぶこともたくさんあります。今は、生きるための大変さを感じることの多い世の中だからこそ、こうした作品を上演し続けるべきだとも感じています。

――お稽古はこれからスタートすると思いますが、楽しみにしていることはありますか?

みんなでシーンを作っていくという稽古になると思うので、一緒に切磋琢磨していくのはとても楽しみです。全員がほとんど舞台上からハケずに存在して違う役を演じて、シーンを動かして、自分たちでセットも動かす。全員で表現していくので、そこで出るエネルギーは相当な熱量になると思います。それを目撃していただくことが演劇の醍醐味でもあると思うので、僕たちだけでなくお客さまも含めて、画期的で幸せな時間になると感じています。

――この物語は、人の温かさや勇気を与えてくれる作品です。浦井さんにとって、勇気を奮い立たせてくれたり、次に向かって頑張るための活力になることは何ですか?

僕も含めて、案外、一人で何かをしようとするのは限界が来てしまいます。でも、例えば、共演したことがある人や現場で久しぶりに会う人の顔、そして劇場でお客さまを見ると、それが活力になります。変化に刺激を受けたり、昔を慈しんだり、未来を願ったり、人と会うことでさまざまな感情になり、僕の活力になっています。やはり一人で生きていくのは限界があるんですよね。同時代に演劇界で、みんなで歩みを進めているということを感じられる人たちに会うのが活力です。

――ところで、早くも2024年がスタートしました。浦井さんにとって、2023年はどんな1年でしたか?

舞台上にずっと居させていただいた1年でした。合計5作品を生み出す機会に参加させていただきましたが、ずっと稽古と舞台でしたね。加えて、コンサートやディナーショーなどもあったので、改めてお客さまのありがたさとエンタメを愛してくださっている姿に感銘を受けた1年でした。

――2024年に向けての思いもお聞かせください。

今年もまたたくさんの作品に出演させていただく予定で、すごく光栄です。名前を挙げてチャンスをいただいているので、とてもありがたく思うと同時に、僕の前を歩いている先輩たちの背中を見ながら、「ここからまだまだだ。諸先輩方に追いつけるように頑張らなくては。それが恩返しになるのだ」と改めて感じています。もう2024年も振り返ってしまいましたが(笑)。きっとそんな2024年になるのだと思います(笑)。

――2024年もお忙しそうですが、そうした日々の中で、浦井さんのリラックス法や息抜きは?

何でしょうね。案外、ずっとリラックスしていて、現場でリフレッシュしているので(笑)。それを(井上)芳雄さんにもよく突っ込まれてます(笑)。皆さんがそんな感じで気に掛けてくださっていて、自分は光栄な環境に身を置かせていただいているなと思います。どこかでギャップを狙っていきたいなとも思いますが(笑)。

――それは、最高の仕事への向き合い方ですね。

そうですね。それは逆に言えば、演出家やプロデューサーさん、座長さんなどがそういう環境づくりを徹底してくれているということなのだと思います。この業界は特に、人と人でしかないので、諸先輩方の温かさや愛をより感じますし、お客さまから学ぶことも多いです。自分もそうあらねばならないなと感じる大きな背中が多いので、だからこそリラックスさせていただけるのだと思います。

取材・文 / 嶋田真己
ヘアメイク:荒井秀美
スタイリスト:吉田ナオキ

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公演概要
ブロードウェイミュージカル『カム フロム アウェイ』
脚本・音楽・歌詞:アイリーン・サンコフ/デイヴィッド・ヘイン
演出:クリストファー・アシュリー
ミュージカルステージング:ケリー・ディヴァイン
出演:安蘭けい/石川禅/浦井健治/加藤和樹/咲妃みゆ/シルビア・グラブ/田代万里生/橋本さとし/濱田めぐみ/森公美子/柚希礼音/吉原光夫 (五十音順)

日程・会場
東京公演:2024年3月7日(木)〜29日(金) 日生劇場
大阪公演:2024年4月4日(木)〜14日(日)  SkyシアターMBS
愛知公演:2024年4月19日(金)〜21日(日) 愛知県芸術劇場 大ホール
福岡公演:2024年4月26日(金)〜28日(日) 久留米シティプラザ ザ・グランドホール
熊本公演:2024年5月3日(金祝)〜4日(土) 熊本城ホール メインホール
群馬公演:2024年5月11日(土)〜12日(日) 高崎芸術劇場 大劇場