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小西遼生と板垣恭一 口を揃えて「こんなミュージカル観たことない」「前代未聞のお坊さんミュージカル」ミュージカル『鉄鼠の檻』開幕

京極夏彦の大人気小説「百鬼夜行シリーズ」の『鉄鼠の檻』が初めてミュージカル化となる、ミュージカル『鉄鼠の檻』が6月14日に初日を迎えた。開幕に際し、公開ゲネプロと取材会が行われた。

『鉄鼠の檻』は、「百鬼夜行」シリーズ第4弾として刊行された長編推理小説で、2017年にはコミック化もされた作品だ。謎の古刹・明慧寺の僧侶が次々と殺されていく事件に、中禅寺秋彦たちが巻き込まれていく姿を描く。『魍魎の匣』に続き、上演台本・作詞・演出を板垣恭一が務め、主人公の中禅寺秋彦を小西遼生が演じる。そして、探偵の榎木津礼二郎を北村諒横田龍儀がWキャストで務め、中禅寺秋彦の友人で作家の関口巽を神澤直也が演じる。
ほかに、上田堪大、高本学、小波津亜廉、松原剛志、福本伸一、内田紳一郎、畠中洋らといった幅広いキャストが集い、いまだ映画化も舞台化もされていない長編の立体化に挑む。

取材会には、小西、北村、横田、神澤、演出の板垣、原作の京極氏が登壇した。(公開ゲネプロでは榎木津礼二郎は北村諒が演じた)

取材会コメント

――京極夏彦ファンの皆さんに注目していただきたいところは?

京極 前作も歌っていましたが、今回多くないですか(笑)?(全員頷く)難しい言葉を喋るより歌う方が覚えやすいと思います。ぜひ、全編を通じて京極語だけでなく、歌を聴いてください。

――皆さんそれぞれ意気込みをお願いします。

板垣 前代未聞のお坊さんミュージカルというところが見どころです。情報量のあまりの多さに稽古で僕がクラクラしたんですが、京極先生がおっしゃってくださったように、まさに難しい言葉は歌った方が意外といける。素敵なエンタメでもございますので、どうぞ犯人探しなど楽しんでいただけたらと思います。

小西 こういう作品をミュージカルにするというのは本当に覚悟がいるというか・・(笑)。難しい言葉をお客さまにどうやって楽しんでもらおうかということを稽古からずっと試行錯誤してきました。ミュージカルでこんな作品は観たことがないと僕は思いますし、きっとお客さんもないと思います。そういう新しい作品が出来上がったと思います。京極先生の言葉ってかっこいいところがたくさんあって、言葉そのものの意味だけではなく言葉の響きといった字状で作品が大きくなるという手応えもあるので、いろんな見方をして楽しんでいただければと思います。

北村 情報量の多い中、軽快な男が一人紛れておりますので、皆さまの頭がパンクする前の癒しになればいいなと思って挑んでおります。楽しんでください。

横田 この作品を初めて読ませてもらった時、人間の欲が、それもお坊さんの欲というところがすごく面白いと思ったので、観ていただくお客さまには言葉の奥深くにある部分を楽しんでもらえたらいいなと思います。僕自身すごく禅に興味が湧いたので、そういう見方もできるんじゃないかなと思っています。

神澤 今、ゲネプロが終わって僕もクラクラしているんですが(笑)。今回、自分で言うのもなんですが、けっこう出てる場面が多くて。情報も伝えていかないといけないので。お客さんの前にまず僕自身がパンクしないようにやっていきたいと思っています。

――板垣さん、2021年に続いて今回も演出をされてパワーアップしたところや注目してほしいポイントがあれば教えてください。

板垣 前作より1.5倍くらいの小説の厚さで、いかにこの情報を3時間でお客様の体力を残しつつ終われるかということにすべて掛かっております。映像をパワーアップさせたり、神澤くん演じる関口を語り部にしたりと、とにかく話が進むことを早くしたい。だけど原作の大切な部分は落としたくなかった。僕が1番やりたかったのは、「悟りとは何かということ」「禅とは何なのかということ」を舞台上に乗っけてみたいと。それを実現するために、圧縮しつつも、ある瞬間は時間を拡大してとにかく内容を伝える。伝わっても分からない世界を舞台上に出現させたいということだけを狙ってありとあらゆる使える技を使った次第です。

――小西さん、北村さん、神澤さんは3年振りに同じ役を演じられますが、今回臨むにあたって心構えや準備したことなどはありますか。

小西 前作は未知からのスタートだったので、一体どうなるのか初日が開くまで正直わからなかったんです。でも、今回は前作を観た方の期待があると思うんです。それで原作がこれに決まりましたと聞いた時、ゾッとして(笑)。前回は、僕の役で言えば個人的な遺恨がある話だったのでメイントーリーに入っていたんですけど、今回は、最後の最後までメインストーリーに関わらないようにしている役なので、どうやっていこうかと一番最初に悩みました。でも、結局やることは一緒で原作本を読みまくりました。そして原作と台本を照らし合わせて、台本に書いてない情報や僕が知っていなきゃいけない情報を言葉に吐いた時、説得力があるようにする。そういった準備をしてきました。

北村 僕はなぜか分かんないんですけど、前回の『魍魎の匣』の稽古動画を見返しました。稽古や歌の雰囲気をみて、前回の記憶を呼び覚まそうとしていました。この時の遼生さんの歌声にめっちゃ惹かれたなとか。それで今回の稽古に臨むのがすごく楽しみになりました。特に理由はないんですけど、前回の稽古動画を見返しました。楽しかったです(笑)。

神澤 僕は逆に前回を振り返らず、新しく関口を作り直そうと思いました。というのも、今回ストーリテラーとして物語を語っていく部分も多く、シリーズの期待を超えていかなきゃということで、全く新しい関口を作ってまたこの作品として愛されるような作り方をしたいなと思いました。

小西 彼、今回の劇団の委員長なんです。

神澤 あっ。それ言うんですか・・(苦笑)。

(一同笑い)

小西 いろんなお世話をしている。3年分、先輩になったんだよね。

神澤 その話もしますか(笑)。そうですね・・3年経ってちょっと上の立場になりましたっていう感じで・・(笑)今回初めて公演委員長というものをやってるので先輩方にいろいろ教えてもらって・・

小西 3年ぶりに会ってびっくりしたんだけど、「僕、陽キャなんです」って言ってて。いやいや、陰キャだし!

神澤 え!?ここ暴露する場なんですか(焦)

(一同笑い)

小西 けっこう関口と被ってるところあるよっていうことを3年経ってちゃんと思い出させました(笑)。

神澤 はい、思い出しました。3年前を。

(一同笑い)

――横田さんは、新たにカンパニーに参加するということで準備をされたことなどありますか。

横田 怖い人がいたらどうしようって思っていましたが(笑)、本当にみんな優しい方ばかりだったのでスッと入ることができました。ダブルキャストが大先輩の北村諒くんということでその緊張感はずっとあります。前作を観たお客さまは諒くんの榎木津礼二郎がイメージついていると思うのでなぞってやった方が怪我はしないと思うんです。でも、僕自身そんな器用なタイプでもないですし、同じことをやっても面白くないと思ったので僕が率直に感じた榎木津礼二郎を稽古でやらせてもらいました。その中で指摘されたところを直していこうと。演出の板さんはすごく優しい方で、「それ面白い!」って何でも言ってくれて逆に不安にはなったんですが(笑)、だからこそお客さんの前に立った時にいただいた反応が正解なのかなという風に思っています。榎木津さんは一般の方からしたら変人に見られがちだと思うので、変人だと思われたら正解なのかなと思います。僕は結構まともな人間なので・・・えっ?

北村 どうした?

横田 すごい勢いでみんなに見られてたから・・

北村 見ただけ。

横田 あ、見ただけですよね。

(一同笑い)

小西 でも、ちょっとこいつ変だなってなってきてる。だんだんね(笑)。

横田 ほんとですか!?なので、変人だと思われるように頑張りたいなと思います。

(一同笑い)

――京極さん、カンパニーの皆さんにエールをお願いいたします。

京極 今日ゲネプロを拝見したんですけど、大変ですよね。大変ですよ。みんな。関口は活躍してないのに出ずっぱりだし。

(一同笑い)

京極 榎木津は変なところから出てくるし。あまり動かないはずの京極堂が立ち回り的になっちゃうし。でも楽しく拝見しました。見どころがたっぷりあるので、初めて観る人もびっくりして喜ぶと思います。二度目の人も「今回こうなの?」なんて思わないと思うので自信を持って気楽にやっていただければと思います。頑張ってください。

全員 ありがとうございます。

――では小西さん、最後にお客さまへのメッセージをお願いします。

小西 この作品はいろんな客層の方が来てくださるものになるかなと思いますし、そうなってほしいです。そうなった時にそれぞれの違う一面で楽しんでもらえるような多重の結界が張られている作品になっていると思います。難しいものは難しいまま届けますけども、その難しさも面白くなるような工夫をしていますので、そのまんまの感覚で受け止めて楽しんでいただければなと思います。個人的に坊さんがいっぱい並んで舞台上にひしめき合っているミュージカルは初だと思います。つるつるしています(笑)。ぜひ皆さん、乞うご期待!楽しんでください。よろしくお願いします。

舞台写真

撮影:岩田えり


公演情報
イッツフォーリーズ公演 ミュージカル『鉄鼠の檻』
原作:京極夏彦『鉄鼠の檻』(講談社文庫)
上演台本・作詞・演出:板垣恭一
作曲・音楽監督:和田俊輔
出演:小西遼生 北村諒(Wキャスト)・横田龍儀(Wキャスト) 神澤直也 上田堪大
高本学 小波津亜廉 大川永 宮田佳奈 伊﨑右典
森隆二 吉田雄 近藤萌音 小原悠輝 藍実成 岡田翔大郎 山下真人
身内ソラ 光由 志賀遼馬 宮村大輔
岩城風羽 吉田美緒 塩嶋一希
松原剛志 福本伸一 内田紳一郎/畠中洋
【東京公演】
2024年6月14日(金)~6月24日(月)紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYA
【大阪公演】
2024年6月28日(金)・29日(土)サンケイホールブリーゼ
【公式HP】https://www.tessonoori-musical.com/