山崎大輝&小野塚勇人「皆さんの日常が少し特別なものに変わったら」ミュージカル『ストーリー・オブ・マイ・ライフ』インタビュー
音楽・作詞ニール・バートラムと脚本ブライアン・ヒルの手によって、2009年にブロードウェイで初演され、ドラマ・デスク・アワードにノミネートされた『ストーリー・オブ・マイ・ライフ』。2019年に日本初演、2021年には2ペアで再演し、好評を博した本作が2024年、待望の3度目の上演を迎える。今回、人気短編小説化のトーマスとその幼なじみのアルヴィンを演じるのは、太田基裕×牧島輝、山崎大輝×小野塚勇人の2ペア。今回は、山崎大輝×小野塚勇人に本作の魅力や二人芝居についてなどを聞いた。
――本作の台本を最初に読んだときの感想を教えてください。
山崎:時間を行き来していることもあり、最初は理解するのに苦労しました。これをどうやって演じればいいんだと怖くもなりましたが、これまでの公演の映像を観たり、今回の上演台本を改めて読んで、ポピュラーな作品だと感じるようになりました。音楽が入ることによって、隅々まで目の前で起こっているように感じられて鮮明に見えましたし、すごくハートフルなので、初心を思い出させてくれる作品だと思いました。
小野塚:僕も初見では理解が追いつかなかったですが、映像を観て、ようやくこの台本の狙いや世界観が分かり、自分がやれることはなんだろうと考えながら読みました。圧倒的に歌の量が多いですが、観ている側にとってはあっという間の出来事で、それほど歌っていたかなという感覚があると思います。展開が早く、芝居の流れで歌う楽曲が多いので、ストーリーに組み込まれているからなのかなと思います。再演を重ねていることがよく分かる作品だと思いました。
――二人芝居という点ではいかがですか? 山崎さんは『スリル・ミー』でも二人芝居を経験されていますね。
山崎:やはり難しいところもたくさんありますが、二人だからこそ細かいところまで狙って詰めていくこともできるなと思います。登場人物が二人だけなので、その人物たちをより深く探っていくこともできますし、その人物の様々な面も見せられる。お客さんたちの見逃さないようにしようという熱意や集中を集めやすいかもしれません。観に来ていただいているお客さんと時間を共有するような感覚があって、大人数で作る作品とはまた違った空気感があると感じています。
――小野塚さんは、今、二人芝居の難しさや面白さをどう感じていますか?
小野塚:まだ(取材当時)芝居の稽古が始まってないので、難しさは実感できていませんが、想像する限りでは大変だろうなと思います。まず、覚えられる気がしない(笑)。「役者の人ってすごいな」と他人事のように今は考えていますが(笑)、どうにかして自分が立っているところを想像しながらやっていけたらと思います。ただ、基本的に稽古場では待ち時間がないというのは良いことですよね、時間を持て余すこともないですから。それから、お客さんは二人にしか視点がいかないので、より生の演技や自分たちの歌声を感じていただけるのかなと思います。
――この作品のお稽古ならではだったり、二人芝居だからこそ初めて経験するお稽古も多いですか?
小野塚:三人芝居はやったことがあるので、それほど「二人だから」ということはないですが、それ以前に海外の作品を日本で上演することの難しさを感じています。英語の歌詞を日本語に当てはめることでリズムの取り方や日本語の伝え方などが変わってきてそれが難しい。31歳にして初めての経験をしています。そもそも、二人なのでサボれないというのも大変なところですが(笑)。
――山崎さんも海外の戯曲を日本語に置き換える難しさを感じていますか?
山崎:そうですね、セリフでもそう感じるところはあります。日本とは違う海外のノリがあって、こう言ったらこう返ってくるというのが僕たちの感覚にはないものだったりするんです。そうした感覚をこれからの稽古で掴んでいかなければいけないなと思っています。それから、勇人くんも言っていたように、やっぱり楽曲もすごく難しい。日本語で歌おうと思うと引っかかる部分もあるので、それをどれだけうまく変換していくことができるのかということも頑張らなければいけない部分だと思います。
――ペアによって色が変わるというのも二人芝居の魅力のひとつだと思いますが、このペアならではの魅力や個性はどんなところにあると思いますか?
山崎:これから稽古をしていくと変わってくるかもしれませんが、勇人くんは柔軟な人なのかなと思います。僕も柔軟な方ではあると思うので、お互いを尊重し合いながらお芝居ができるのではないかなと感じています。
小野塚:僕もまだ分からないですね。ですが、結局この2人が仲良くやっていければ成功するものだと思います。あとは楽曲とセリフを覚えてきちんとできればいい。なので、お互いに支え合って、傷を舐め合って(笑)やっていければいいかなと思います。僕たちは3組目のペアとしてまた新しいものをお見せできるのかなと思いますし、自分たちなりのトーマスとアルヴィンを演じていければと思います。
――それぞれの役柄については、今はどのように捉えていますか?
山崎:アルヴィンは、自分の世界を強く持っている人間だなと思います。きっと根本は明るい人物で、自分の中で憧れを持っているのだろうとは思うのですが、良くも悪くも外の世界を知らないことが、このアルヴィンの世界を作っているのだと思います。演じる上では、トーマスを振り回していきたいです。トーマスを振り回して、アルヴィンの世界をブラさずに演じていければと思っています。
小野塚:トーマスは、スーツを着て、スマートな男っぽさがあるように見えますが、めちゃくちゃ人間臭いと思います。アルヴィンのような生き方に憧れていて、本当は自分もそうしたいけど、世間や周りのことを気にしてできない。天才に憧れた凡人というイメージが僕はあります。なので、名声にも敏感に反応しているし、ある意味では、しっかりしている。誰しもが感じるようなことを敏感に感じ取る人ではありますが、すごく独創性があるわけでもない。何か特別な世界観があるというよりは、ノーマルな人間に近いと僕は思います。アルヴィンが振り回すと言っていましたが、僕はアルヴィンに振り回されることに依存するところがあるので、そう演じていきたいと思います。
――共感できるところも多いですか?
小野塚:トーマスはみんなが共感しやすいのかなと思います。嫉妬もするし、綺麗ではない面も描かれているし、でも純粋さもあるので。アルヴィンはマイノリティ側の人間だと思うので、共感というのとはまた違うのかもしれません。最後まで死んだ理由が分からないままで謎に包まれているというところも、自分の世界観で生きているように感じます。自由に見えて羨ましくもありますが、実はすごく窮屈なのかなとも思います。
山崎:アルヴィンは、ひたむきに憧れの世界を展開していて、それはすごいことですし、僕は共感できますが、自分がそうかと言われたらそうではないかもしれません。ですが、子どもの頃は、そういうところがあったと思います。今よりも好きなようにやって自分の好きな世界を想像して過ごすということは、知らず知らずのうちにしていたかもしれませんね。それから、この作品の中で「ローブ」や「ママのもの」が出てきますが、僕も子どもの頃にめちゃくちゃ好きなぬいぐるみがあって、そのぬいぐるみは今も捨てられなくてずっと実家にあるんです。物には思いが宿るではないですが。そうした部分は共感できるなと思いました。
――ところで、トーマスとアルヴィンの友情を描いた本作ですが、お二人にとっては「友情」とはどんな存在ですか?
小野塚:難しいですね…。友達に情をかけるという字の如くだと思います。毎日のように一緒にいなくても、お互いに楽な距離感があって、たまに会って話すとすぐに同じように話ができて、悩みや寂しさを言葉で伝えなくても分かって助け合っていくという関係性がいいなと僕は思います。ただ、トーマスとアルヴィンは、ある意味では依存しあっているように感じます。お互いにいい距離感でやっていくのが一番楽ですよね。「会いたい、会いたい」となっても相手がそう思っていなかったら意味ないですし、その距離感の取り方は人が別れるランキングのナンバーワンに入るくらいのよくある理由ですから(笑)。いい距離感をお互いに尊重しあっていることが友情かなと思います。
山崎:僕は友達をたくさん作るタイプではなく、どちらかというと狭く深くというタイプです。僕がいいなと思っている友情というのは、久々に会ってもその前に会った時の続きのような感覚で話ができる。ある意味、距離感がリセットされない感じです。僕は、久々に会うと、それまでの感覚を忘れてしまって、どんなふうに話していいか分からなくなってしまうんですよ。自分がどう話していたのか忘れてしまって、よそよそしくなってしまったりするんですが、それがない人が友達なのかなと。お互いのことを分かっていて、間違った時にはきちんと指摘してくれる人。それが友情だと思います。
――ありがとうございました。最後に、改めて作品に向けての意気込みと、読者の方にメッセージをお願いします。
山崎:この作品は、とてもハートフルで、メッセージ性があって、自分たちの身近なところに存在する、見えてなかったものに気づかせてくれるような作品だと思います。この作品を観ることで、皆さんの日常が少し特別なものに変わったら嬉しいです。きっと温かい気持ちになれると思いますので、劇場でご観劇いただけたらと思います。
小野塚:頑張るので観に来てください! とてもいい作品で、世界観も素晴らしいので、見て損はないと思います。今回は2ペアで上演されますので、ペアも見比べる楽しみ方もあります。僕たちは新しいペアなので、いい意味でこの作品の良いスパイスになって、僕たちなりのストーリーを作っていけたらと思います。
ヘアメイク:北一騎
スタイリスト:内田考昭 (A-T)(山崎大輝)/大川好一(小野塚勇人)
取材・文 / 嶋田真己
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・賞品のネットオークション等での転売は、禁止いたします。
・キャンペーンの応募状況および抽選結果に関するお問い合わせにはお答えしかねますので、あらかじめご了承ください。
公演概要
ミュージカル『ストーリー・オブ・マイ・ライフ』
作詞・作曲:ニール・バートラム
脚本:ブライアン・ヒル
演出:高橋正徳(文学座)
出演:太田基裕・牧島輝/山崎大輝・小野塚勇人
日程・会場
東京公演:2024年11月5日~15日 よみうり大手町ホール
大阪公演:2024年11月22日・23日 サンケイホールブリーゼ