赤澤遼太郎「“変化”ではなく“進化”を意識して」 演劇調異譚「xxxHOLiC」 -續・再-インタビュー
人気創作集団CLAMPのマンガ『xxxHOLiC』を原作にした、演劇調異譚「xxxHOLiC」 -續・再-が、2025年1月24日(金)から2月9日(日)まで東京・シアターH、2月14日(金)から16日(日)まで大阪・SkyシアターMBSで上演される。2021年に演劇調異譚「xxxHOLiC」としてオールメイルで初めて舞台化された本作は、2023年には続編となる、演劇調異譚「xxxHOLiC」-續-を上演。今回の公演は、演劇調異譚「xxxHOLiC」-續-の再演となる。脚本は畑雅文、演出は松崎史也が担当し、壱原侑子役を太田基裕、四月一日君尋役を阪本奨悟、百目鬼静役を松島勇之介、九軒ひまわり役を赤澤遼太郎が前作に引き続き演じる。今回は、赤澤遼太郎にシリーズを通して演じる久軒ひまわり役についてや本作への意気込み、さらには俳優業への思いなどを聞いた。
――1年半ぶりの再演となります。赤澤さんはシリーズを通して、本作に出演されていますが、改めてこの作品の魅力をどんなところに感じていらっしゃいますか?
原作が大事にしている余白やコマとコマの間から感じられる余韻があるところが魅力だと思います。そこに松崎さんの演出とキャストたちの演技がプラスされ、大きな化学反応が起こっている。不思議で妖しくて、でもどこか優しくて。そこに生まれる余白が素敵だと思います。それから、オールメールであることで、男性が演じる不思議さも加わっているように思います。ある種、そこには“大きな嘘”があり、お客さまと共通認識を持って舞台ならではの世界を作り出しているような感覚があります。楽曲や舞台美術も、和洋折衷な雰囲気があり、それもこの作品ならではだなと感じています。
――これまでの公演で特に印象に残っていることを教えてください。
キャスト同士みんなで励まし合って作り上げてきたことを覚えています。みんなでお互いに「今日もかわいいよ」って(笑)。圭ちゃん(櫻井圭登)と毎日、「圭ちゃん、今日もかわいいよ」「遼太郎ちゃんも最高にかわいいよ」と言い合うのがルーティーンでした(笑)。舞台に上がる前にかわいいと言い合うと自信がつくんですよ。やっぱり「かわいい」って言われるのって大事ですよね。だから、女の子にも「かわいい」と言った方がいいと思いました(笑)。言われると本当にかわいいと思えてくるんです。鏡を見ながら自分で「今日もかわいい」と自分に言ってあげたり、メイクさんにも「なるべく褒めてください」とお願いして「かわいい」と言ってもらったり(笑)。プラシーボ効果というのかな、そうしたことを意識的にやっていました。
――女性キャラクターを演じるという上では、苦労したこともありましたか?
かなり多かったです。やっぱり“最大の嘘”だと思っていたので。シリーズ1作目は、本当にどうやって表現していけばいいのか、すごく悩みました。それに、身体的な問題もありました。僕は決して華奢な方ではないので、舞台に立ったときにどうやってひまわりちゃんとして居れば良いのか。周りの人との身長をどうやって合わせればいいのか。体の角度を研究したり、歩く歩幅を変えたりと、いろいろと試しました。初演のときに、三上俊さんが女郎蜘蛛役で出演されていたのですが、三上さんはこれまで「スタジオライフ」で女形をされてきた方なので、色々と相談させていただきながら、毎回、アップデートして作っていきました。何よりも「女性としてそこにいる」ことが大変でした。今は考えずとも体に馴染んだことを感じていますが、それはシリーズを通してここまできたから成長できたところだと思います。
――女性を演じようとすると、大げさになってしまいがちですが、自然に女子でいるというのはすごいことですよね。すごく自然体で。
僕はすごく不器用なので、日常生活から変えていきました。普段は足を開いて座ってしまいますが、ひまわりちゃんを演じるときは普段から足を閉じて姿勢を良くして座るように意識して。そうした仕草が日常に馴染んでからは、うまくハマるようになったと思います。ただ、ホリ譚が終わった後に、赤澤遼太郎としての写真撮影をしたら、まだ女の子が抜けきれていないときがありましたが(笑)。
――フィジカル面、体つきというところも意識されているんですか?
かなりしています。今回もなるべく体つきを変えていきたいと思っています。ただ、単純に体重を落としてしまうと、その分、顔もこけてしまって女性的ではなくなってしまうので、その塩梅が難しいですね。僕は少し前まで役作りで筋肉をつけていたので、少しでもひまわりちゃんらしく変わりたいと思います。
――マッチョな役を演じていらっしゃいましたよね。かなりの落差ですね。
落差しかないです(笑)。ただ、役者としてそこを見せられるのはすごく幸せなことだなと思います。体重を落としたり、増やしたりするのは、ある種、自己満足的なところもあるんですよ。それをしたことで自分に対して自信を持てたり、役への思いが強固になる。ただ、僕はそれはいいことだと思っているので、今回も体作りも含めてがんばりたいです。
――再演にあたっては、どんなところをブラッシュアップしていきたいですか?
ちょうど昨日、公演の動画を観ていたのですが、不思議な感覚になりました。僕の演じるひまわりちゃんの重要なシーンの緊張感たるや…。こんなにも音楽がなかったっけ? と。物凄く繊細なシーンなんです。そうしたシーンを演じることができたというのは、役者として幸せなことだと思います。ただ、今、再演で何かを大きく変えたいという思いはなくて。ガラス細工のように丁寧に丁寧に作ってきた作品だからこそ、大きな変化を求めてパワーアップしようと頑張ると、一気に崩れてしまうのではないかと思うんです。なので、以前に作り上げたものを大切に、より細かく、大きく変えるというよりはその彩りを調整していく。息遣い一つから、助詞のひと文字に込めた思いまで大切にしている作品なので、「変化」ではなく「進化」を意識していければいいなと思います。
――阪本さんと松島さんとのシーンが多いかなと思いますが、今回の共演で楽しみにしていることは?
本当に奇妙奇天烈なんですが、この作品で日替わりをやってたんですよ、3人で(笑)。おかしいですよね(笑)!? 日替わりは、役者本人が前に出てしまいやすいですし、それが出てしまった方が面白い場合もありますが、それをこの作品で僕たちがやるというのは、かなり綱渡りをしているなと思っていました(笑)。だって、赤澤遼太郎が出た瞬間に世界観が終わってしまいますから(笑)。なので、今回もそれはめちゃくちゃ楽しみのひとつです。毎回、百目鬼の天然を利用したネタを(松島)勇之介が考えてくれて、キャラから逸脱しない範囲で三人で盛り上げていく。すごく楽しかったです。
――いかに自分を出さずに乗り切るか、そのせめぎ合いが難しそうですね。
そうですね。でも、うまいことハマってくれて、違和感なくできていました。前回は、日替わりが2カ所あったんですよ。僕たちの日替わり以上に櫻井圭登くんと大平峻也くん、三井淳平くんの3人の日替わりもすごかったですね。長い時間、毎日やっていたので。でも、不思議とそれも含めてホリ譚だなと感じます。日替わりは楽しかったので、今回も楽しみです。
――楽しみにしています! では前回のお稽古場でのエピソードなどもお伺いできればと思いますが、思い出に残っていることやお稽古場ではやっていたこと、共演者の皆さんから刺激を受けたことなどを教えてください。
ホリ譚は、すごく大人なカンパニーなので、お芝居以外のところよりも、舞台上で交わす気持ちの方に密度があると感じています。それぞれやることをやって舞台に立つというプロフェッショナルな現場なので、多くを語らずともお芝居で通じ合っているように思います。稽古の風通しがすごく良くて、効率的にスピーディーに進んでいき、役者としてはとてもやりやすい環境で、安心して劇場に入れました。普段はやることが多かったり、まだ落とし込めていないのではないかという不安も少しだけあったりするのですが、ホリ譚はそうしたことが全くなくて。稽古が一周した後に、さらに演出の松崎史也さんと「ここは感情を抑えよう」と色々とディスカッションをしながら作れたので、そういった意味ではすごく楽しい、充実した現場でにした。
――松崎さんの演出はいかがでしたか?
『xxxHOLiC』の世界観とディテールを大切にする素晴らしい演出だと感じました。史也さんとは長い付き合いですが、この作品も「さすが」の一言です。原作ファンの方にも喜んでいただける作りで、例えば、話の軸ではないキャラクターにもしっかりと焦点が当たっていて、その優しさも素晴らしいですし、シーンとシーンの切り替え方にも『xxxHOLiC』らしさが細部に感じられます。不思議な世界観と可愛らしさが共存しているような作品になっていて、信頼感しかないです。僕のお芝居に対してもすごく細かく見てくださるので、ひまわりちゃんのシーンは史也さんと奨悟くんと3人で作ったシーンだなと思います。言葉の語尾一つにこだわって作りましたし、劇場に入ってからもたくさんのアドバイスをいただきましたし、とても信頼している演出家さんです。
――再演に向けて、改めて意気込みをお願いします。
再演できるということが本当に幸せです。2年前、プロデューサーさんが「絶対にまた上演したいからみんな集まってね」と声をかけてくださったのを覚えています。その一言で頑張れたし、ここまでこられたと思います。初演で作り上げたものを大切に、お客さんにしっかりと物語を届けられるよう、誠心誠意、演じていきたいと思っています。
――ここからは、ぜひ赤澤さんのことについても教えてください。まず、赤澤さんにとっての舞台の魅力とは?
エンタメにはたくさんのジャンルがありますが、生で感じられるということが舞台の最大の魅力だと思います。今、エンタメがすごく身近にありますよね。ですが、舞台はチケット代を払って、劇場まで足を運んで観劇しなければならない。観劇に行くと、自宅から近い劇場だったとしても半日くらいはかかります。ある意味では、少し不便なエンタメかもしれません。でも、同じ空間で一緒に作品を作れるというのは、舞台ならではの素晴らしい体験だと思っています。目の前で登場人物たちが揺れ動く姿を見て、そこで発する言葉や感情を感じることで、生きる勇気をもらえたり、頑張っていく気力をもらえることがあって。僕自身も観劇に行きますが、役者の皆さまの想いや熱量がビシビシ伝わってきたり、舞台上と客席のキャッチボールで作品が出来上がっていくところも、舞台の面白さだと思います。
――そもそもそも赤澤さんが俳優を目指したきっかけは?
両親が昔、声優をやっていたので、身近に台本がたくさんあったんですよ。そうしたこともあって、役者になりたいと自然と思うようになりました。高校生のときに親に役者になりたいと伝えたら、大変なことを知っているし、選ばれた人しか食べていけない世界だからとすごく反対されたんです。そんな大変な思いをさせたくないから、アナウンサーを目指した方が良いと勧められて。アナウンサーも大変なお仕事だと思いますが、堅実だという意味で勧められたのだと思います。それで、紆余曲折あり、アナウンサーを目指すために大学に入ったのですが、僕の親友が役者を目指していて、「一緒に応募しよう」と事務所のオーディションを受けたら僕だけ受かってしまって。そこから引き返せないところまで来たという感じです(笑)。
――ご両親は早い段階で応援する側に?
当時の事務所に所属するとなったときに、マネージャーさんとお話して、大学を卒業するという条件なら続けていいよと言ってくれました。ただ、ここまでさまざまな作品に縁があるとは思っていなかったようで、今は一番、応援してくれています。
――2025年にはデビュー10周年を迎えます。
うわー、もう10年なんですね!
――あっという間でしたか?
そうですね。ちょっと時の流れの速さにびっくりしています(笑)。まだ22歳くらいの気持ちだったので(笑)。
――とはいえ、たくさんの経験を積まれてきたので、ご自身の中でも変化がたくさんあったのではないですか?
楽しみ方は変わったと思います。お芝居に対しての思い、どうしたらお客さんに伝わるのかということは、この10年間で自分の中で変わってきました。もちろん、感情も大事ですが、うまくキャラクターの感情の機微を見せるためには、どうやって調整して見せるのか、そうした技術的なことは先輩や演出家さん、人との出会いで身についてきたものだと思います。
――赤澤さんにとって、お芝居をする面白さはどんなところにあるのですか?
良いことも悪いことも全てが味方になるということだと思います。例えば身近な人の死も、いつか何かの役作りのための想いに昇華できるかもしれない。ただ悲しいだけで終わらないというか、常に前に進む何かを日常生活の中で手に入れてもいることを感じます。それは、やはり何かを作り出す仕事だからこそだと思います。役者は特にそれが顕著に現れる仕事なのかなと。それは役者の魅力でもあり、すがるものでもあり…これがあるからこそ僕は自分を保てているのかもしれないとも思います。もちろん、さまざまな人の人生を歩むことができるというのもあると思いますし、その人にしかできないお芝居ができるというのも俳優の面白さだと思いますが。
――俳優を続けていく原動力は?
“褒め”です(笑)。周りの方、そしてファンの方の“褒め”が僕を生かしてくれています。よくエゴサもしますし、お手紙もいただいたものは全て読んでいますが、皆さんが時間を使ってくれたということも嬉しいですし、「本当に面白かったです」という一言がすごく力になるので、それが僕のモチベーションです。
――赤澤さんが目指す理想の俳優像は?
立てなくなるまで舞台に立ちたいですし、死ぬまで俳優をやっていきたいです。年齢によって出会える役は変わってくると思うんですよ。きっと僕が40歳、50歳、60歳、70歳になったときに出会える役があって、それは今とは全然違うものだと思います。いつか巡り会うかもしれない役と出会うためにずっとワクワクしていられたらいいなと思いますし、それが僕の理想です。ひまわりちゃんもすごく驚いた役との出会いでしたが、そうした想定外の役に出会えることもまた面白いです。先日、声優のお仕事で10歳の男の子を演じたのですが、それも「そんなことある!?」という出会いだったので、続けていたらきっといろいろな面白い出会いがあるのではないかなと楽しみです。
――2025年は、この作品からスタートになると思いますが、2025年の目標は?
最近、年齢のせいなのか、太りやすくなってきたんですよ。少し痩せているくらいの体重の方がビジュアル的にはベストだと思うので、今回、ひまわりちゃんの役作りで痩せた体型を維持していきたいですね。油断したらすぐにお肉がついてしまうので(苦笑)。
――普段から体のケアはいろいろとしているのですか?
やるようにはしていますが、飲みにいく機会も多いんですよ。僕に日本酒を勧めてくる友達がいて、それからすっかり日本酒の虜になってしまって。それですぐに太ってしまうんですよ(苦笑)。2025年はいいビジュアルでスタートできたらと思います(笑)!
取材・文 / 嶋田真己
ヘアメイク:鈴木りさ
スタイリスト:西川志都(Tatanca)
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・賞品のネットオークション等での転売は、禁止いたします。
・キャンペーンの応募状況および抽選結果に関するお問い合わせにはお答えしかねますので、あらかじめご了承ください。
公演概要
演劇調異譚「xxxHOLiC」-續・再-
企画:大河七瀬 松田誠
原作:CLAMP『xxxHOLiC』(講談社)
演出:松崎史也
脚本:畑雅文
出演:太田基裕、阪本奨悟、松島勇之介、赤澤遼太郎、平松杏蓮/トレン、シモン イヴァノフ/黒岩紘翔、櫻井圭登、大平峻也、三井淳平、加納幸和(花組芝居)、橋本有一郎 木村和磨、山﨑竜之介、鶴岡政希、佐藤康道、原 周石
日程・会場
東京公演:2025年1月24日(金)~2月9日(日) シアターH
大阪公演:2025年2月14日(金)~2月16日(日) SkyシアターMBS