舞台を生み出す立役者 クリエイターに迫る。「ELF The Musical」編
ちょっと、ここだけバナシ。
プロデューサー 加藤はるなさん 編
カフェで話しているようなリラックスした雰囲気で、作品を手掛けるクリエイターの方々に話を聞かせてもらう、“ちょっとここだけバナシ。“
今回のプラスな話を届けてくれるのは、2020年11月上演の『ELF The Musical』のプロデュースを手掛けた加藤はるなプロデューサー。
初演(2019)の『ELF The Musical』が初プロデュース作品となり、その後、ミュージカル『SUPERHEROISM』(2020)などを手掛ける加藤プロデューサーが、初演を経て「やりたい!」と思った 『ELF The Musical』(以下『ELF』)の魅力とは?また、キャスティングや舞台構想、作品への思いなどを幅広くお話を伺いました。是非、ご覧ください!
いち観客として幸せになれた作品
まず、『ELF』をやろうと思ったきっかけを教えてください。
「もともとは違う作品で同じ原作元にあたっていたんですが、その作品(の上演)が難しいとなって、先方からこれはどうですか?と提案いただいたのが『ELF』だったんです。ちょうど(2019年)12月に開催を予定していたので、クリスマスシーズンということもありましたし、何より映画とブロードウェイ版の音楽を聴いて、これはとってもファンタジーで素敵なお話しで是非、やりたい!と思ったのがスタートでした」
昨年の公演を終えていかがでしたか?
「すごく大変なこともあったんですけど、いち観客として観た時にとても幸せな気持ちになれたので、“これはまたやりたい!”と思ってすぐ劇場に申し込みをしました(笑)」
海外のミュージカルを日本で開催すると衣裳やセットを用意するのは大変そうに感じますが、実際はいかがですか?
「衣裳や演出をインクルードで海外から持ってくる作品もあるんですけど、『ELF』は歌と台本だけだったので衣裳やセットは自由だったんですね。なので昨年は手探りの中、セットを絵本にしたのはこだわりました」
そういった構想の話し合いは演出家の方とされるのですか?
「そうです。演出家とプランナーの方とまずは想像を膨らませて予算の中でできること・・みたいな(笑)」
(予算内でやること)それは大事ですね(笑)。でも、あの絵本のセットは素敵でした。
「奥行きがない劇場だったので、演出家がそこを埋めるためにはどうしたらいいかっていうことをすごく考えてくれて。セットを絵本に見立てて、その世界観の中で繰り広げられる物語を映像で展開して、とほんとにいろんな人のアイデアで出来上がりました」
確かにステージによって見せ方が変わってきますよね。今年は新国立劇場 中劇場ということもあり、セットも変わるんでしょうか。
「演出家の方も昨年と変わったということもあって、同じセットじゃない方がいいね。という話をしていて(笑)。というのも、昨年の演出家・児玉明子さんの師匠が今年の演出家・三木章雄さんなんですよね」
え!?
「二人とも宝塚歌劇団の演出家の方で。児玉さんは、三木さんの弟子だった方なので、弟子から師匠へっていう(笑)。なので、師匠が弟子には負けられないっていう感じで (笑)、新国立劇場ならではの使い方を今考えているので、お楽しみに!」
それは楽しみです!では、今作のキャストについてお伺いさせてください。
イメージと合った最高の役
「この演目が決まって主演(バディ役)を探していた時に、岩﨑大昇(美 少年/ジャニーズJr.)さんが出演している舞台で、彼ののびやかな歌を聴いてすごくバディに合いそうだなと思いました。その後、楽屋でご挨拶をさせていただいて、素直な感じというか、そういうところもバディっぽいなと思ってオファーをさせていただきました」
織山尚大(少年忍者/ジャニーズJr.)さんはそれこそシティボーイという感じですよね。
「バディとマイケルは義理の兄弟なので、サンタクロースに育てられたピュアなバディとニューヨークで育ったシティボーイのマイケルが彼らの地にもリンクして合うなと思いました。勝手なイメージですけど(笑)」
確かに(笑)。plus aで一問一答をさせていただいて、似ているなという部分もあるし、真逆だなという部分もあって面白いなと思いました。
「それが役上で、舞台上でどうなるのか。楽しみです。別所哲也さんは歌を聴いて、是非、一度ご一緒してみたいなと思ってました。テレビで別所さんが、映画『グレイテスト・ショーマン』のの「The Greatest Show」を歌っているのを見て、威厳のある感じがウォルター・ホブスと重なって!コング桑田さんは、途中からご参加いただいたのですが、ものすごく初日から溶け込まれていて(笑)。みんなのことを気遣ってくださるハートフルで愉快なサンタです!」
香寿たつきさんも初めてお会いして素敵な方だと思いました。
「香寿さんの舞台は小さい頃から観ていて、包み込まれるような歌を歌われる方という印象が大きくて、演出家の三木さんも、エミリー・ホブスは、自分の血を引いていない腹違いの子でも受け入れる母性を表現したいということもあったので、香寿さんにオファーをさせていただきました」
香寿さんの笑顔を見ただけで包み込まれるような温かい気持ちになります。
「私の中のイメージでそれぞれにピッタリな人が来てくれたなと思います。柏木(ひなた)さんは、別の舞台でご一緒したことがあって、その時の彼女の歌に魅了されたんですよね。ただ上手いだけじゃなくて、心に届いてくるというか。なのでこれは是非、ミュージカルでご一緒したいなと思っていました」
花乃まりあさんとエリック・フクサキさんについては?
「花乃さんは、三木さんからの推薦もあって、デビーという役柄的にも”シュッ”とした方が良かったので、秘書というイメージにはまりました。稽古場でみたら“シュッ”という以上に“コミカル”で!素敵なギャップのある方です。エリックさんは、三木さんから、今回のマネージャー役は他がしっかりしているキャラクターだから、ちょっと抜けたタイプがいいよね。という話を伺っていたので、実際にお会いして、ジェントルな感じと真面目がゆえにちょっと抜けてしまう、という感じが魅力的だなと思ってお願いしました」
エリックさんのお話を聞いて、コメント撮影の時、話すことを事前にすごく考えてくださってカンペまで用意されて、”いざ!”という時に、ご自身の携帯(の着信音)が鳴るっていう(笑)。なにか憎めない感じですよね。
「そうそう(笑)。ほんわかするというか。でも本人は一生懸命。という感じが(役に)ピッタリかなって」
イメージされた皆さんがオファーを受けてくださったというのもすごいですね。
「ね!ほんとうにそうで。それはもう作品の力だと思います。日本では映画は公開されていないんですが、見ている人が結構いて。良かったなって(笑)」
ひとつの夢が叶った出会い
では、演出家の三木さんはどのような経緯でご一緒することになったんですか。
「前回担当してくださった児玉さんが、ちょうど別の舞台と被っていて、今年はできないとなったんですね。でも、私は、『ELF』という作品は宝塚の演出家の方にお願いしたいというのがあって。それは宝塚のミュージカル作品と通ずるものが『ELF』にはあると思うのと、私が宝塚が好きということで(笑)。そんな話を知人としていた時に、「三木さんは?」と提案をいただいたんです。三木さんは、私が小学生の頃に観ていた大好きなショーを演出していた方で。それは私が宝塚を好きになったきっかけの作品のショーだったんですね。まさかそんな方と仕事ができるようになるとは・・!と思って、是非、紹介してください!と言って会いに行き、(演出を)やっていただけることになったんです」
それはすごいですね!
「そうなんですよ。私にとってひとつの夢が叶ったというか」
夢を与えるお話しですね。憧れの方と実際にお会いしていかがでした?
「三木さんは、『宝塚歌劇の殿堂』入りをされてらっしゃるし、宝塚の理事もされてらっしゃったのですごく緊張をしたんですが、実際にお会いしたらすごく包み込んでくださる優しい方で。なんでしょう、いろいろ相談もできるし、私にない発想も授けてくださり日々勉強させていただいております!」
今作の構想はもうできてらっしゃるんでしょうか?
「『ELF』は、ファンタジーだけど、実はファンタジーだけじゃない。人生全部うまくいっているという人は登場していなくて、市井(しせい)にいる人々も夢物語だけじゃない、リアルにみんなが抱えている状況も描いていたりするので、夢物語に終わらない作品。という解釈を三木さんがしてくださっていて」
なるほど。ミュージカルは華やかがゆえに、私なんかは本質的なストーリーを見逃しがちになりますが、そこを三木さんがどう描くのかというところも楽しみです。
「そうですね。ウォルターの心情を吐露する場面をもっと膨らまそうとか、そういうところも考えていろいろと提案してくださいます」
光となるような作品を作っていきたい
では、少し個人的なお話しになりますが、作品を手掛けるうえで大切にされていることはありますか?
「私が絶対にやりたいと思っているのは、最後に光を差したいということです。どんなに人生にアップダウンがあったとしても、洞窟の向こうには光がある、じゃないですけど、光が最後に差し込んだのを見せて終わりたいというのがすごくあって。その光が見えたから、苦しくても、いろんなことが毎日あっても、光の方を見て顔を上げて生きていこう、ということを伝えられえる作品を作っていきたいなと思っています」
人生観のお話しになりますね。
「目の前で歌って踊るのを観るという非日常感を感じて、光が差し込む感じを持ち帰ってくれたらとても幸せだなと。観てくださったお客様が何かしらを持って帰っていただける。そんな仕事というのはすごく素敵だと思っていますし、プロデューサーというのは、自分のそんな思いを皆様に届けられるように、キャストやスタッフの皆様に集まってもらって、皆さんが伝えたいと思っていることや自分だけではできない発想を織り交ぜて届けること、そして、現場を楽しかったなと思ってもらえるようにすることも大切だなと思っています」
そんな加藤さんが手掛ける『ELF The Musical』を楽しみにしているお客様へメッセージをお願いします。
「こういった日常が続く中で、ちょっと違う世界に行きたいということがあると思います。だからこそ、この2時間半は頭の中を100%『ELF』にして、『ELF』の世界の旅を満喫してもらえたら嬉しいです」
加藤さん、ありがとうございました!
「最後には光を差して終わりたい」。そう語る加藤さんの想いは、まさに今の状況下とリンクして、今だからこそ届けてほしい作品だと思いました。そして、エンターテインメントというものが多くの方にとって少しの光になればいいなと。自身の夢を叶え、最高のキャスト、スタッフの方々が集結した『ELF The Musica』。そこには、きっとたくさんの思いが詰まった大きな光が見えるような気がします。
【公演概要】
「ELF The Musical」
【出演】 岩﨑大昇(美 少年/ジャニーズJr.) /織山尚大(少年忍者/ジャニーズJr.)/柏木ひなた(私立恵比寿中学)/花乃まりあ エリック・フクサキ /コング桑田 香寿たつき /別所哲也 ほか
【演出】三木章雄(宝塚歌劇団)
【スタッフ】
Book by:Thomas Meehan and Bob Martin
Music by:Matthew Sklar
Lyrics by:Chad Beguelin
Based upon the New Line Cinema film written by David Berenbaum
【日時・会場】
<東京> 2020年11月12日(木)~11月22日(日) 新国立劇場 中劇場
【チケット料金】 全席指定 12,000円(税込)
※4歳未満入場不可。
※ご購入後の返金・クレーム及びお席の振替は一切お受けできません。予めご了承ください。
【お問合せ】 サンライズプロモーション東京 0570-00-3337(平日12:00~15:00)
【公式HP】 https://www.elf-themusical.jp/
【公式twitter】 @ELF_themusical