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ちょっと、ここだけハナシ。ミュージカル「SUPERHEROISM」 作・演出 三浦香さん編

カフェで話しているようなリラックスした雰囲気で、作品に携わるクリエイターの方々に話を聞かせてもらう、“ちょっとここだけバナシ。“

今回のプラスな話を届けてくれるのは、2021年6月18日より開幕する、ミュージカル「SUPERHEROISM」の作・演出を務める三浦香さん。ご自身のアルバイトの体験から生まれたという本作は、自身が主宰する劇団「ファンカスキャンパーズ009」で2010年に初演されました。時を重ねた今の演出について、アルバイトからチーフ目線になっているという三浦さんの演出法や本作への思い、さらに個性豊かなキャストについても、たくさんお話を伺いました。ぜひ、ご覧ください♪。

これまでも上演されてきた作品となりますが、演出も変わったりするのでしょうか。

「SUPERHEROISM」は、自分がアルバイトをしていた時の体験が入っている作品なんです。昨年よりも前に上演をしていた時は、バイト目線で作っていたんですけど、今は年月を重ねてチーフ目線になっています。こんなバイトがいたら嫌だなっていう(笑)。なので、演出で言っていることも変わっていると思います。どんな感情で作っていたかを思い出すというより、こういう若者が懐かしいなという思いで今は作っています。

時を重ねて演出も変わってきていると?

そうですね。こんなことを考えていたんだっていう、自分の若い感じが羨ましくもあり恥ずかしくもあります。言葉遣いもあまり知らない若者だったので、今だったら売り場のチーフたちみたいにイラっとしちゃうんだろうなと思います(笑)。昔は、「こんな大人たちを困らせよう!」みたいな気持ちがあったんだと思うんですけど、今は、「どうやったらそんながむしゃらな気持ちになれるのか教えてくれ!」と、現場で言ってます、若者に(笑)。

ご自身のアルバイトの体験からできたお話しだったんですね。

デパ地下で働いていた時、たい焼き屋のおばちゃんと焼鳥屋のおばちゃんのケンカを見たんですよね。全然ケンカをするところなんてないと思っていたおばちゃん同士のケンカに、なんで(ケンカを)するんだろうと思ったところが、「スーパーヒーローイズム」の始まりです(笑)。今思えば、こんなことすら平和で幸せでしたよね。すごくうるさい店長がいて・・とか、そういうことがあって「大人って面倒くさいな」と思って描いた作品です(笑)。

ヒーローイズムの成り立ちがそこからだったんですね。一気にリアリティが出てきました。

基本はどんな作品でも、リアリティがないものはあまり好きではないので、そこができていないとどこまでも追及しちゃいますね。だから演者には、まずは自分が思うようにやってもらいます。

吉本の方が3名いらっしゃるということで、毎回アドリブがすごいと伺いました。

押さえてくれということではないんですけど、きっかけ台詞は言ってくれと言って笑っています。それがないとずっと笑いになってしまうので。だけど、押さえてほしいと思うくらい暴れてるので楽しいです!

キャスト皆さんの一年前と今を見ていかがですか。

大人になったなと。この一年でいろいろな経験をしてきていると思うので。あと、私もみんなのことがある程度分かっているので、要求がより高くなっていることに戸惑っている気がします。

前回と比べてということでしょうか。

そうですね。「(前回と)何が変わったの?」って、ずっと質問しています(笑)。

佐々木大光さんは、「1回やったからできるでしょと思われて期待外れだったというのが怖い」と、仰っていました。

あはは(笑)。そうなんですね。まさに今日言っちゃいました。「もっとできるでしょ」って(笑)。信頼があるからこそ言っているところはありますが、めちゃくちゃ煽ってます。

中村嶺亜さんも前回はとにかく必死でがむしゃらだったと仰っていました。

嶺亜はなんだか変わろうとしています。こちらの要求をキャッチしているというか、求めていることをやってくれるようになって、座長としてまたひとつ成長しているように思います。大光には、まとまらないことをテーマにぶつかっている最中なんですが、本人はたぶん分かっていると思うんですよ、求められていることが。彼の爆発待ちです。でもできると思います。

昨年の公演でも佐々木大光さんのダンスのキレがすごかった印象があります。

面白くなっちゃうくらいキレがすごいです。一人お客さんというポジションでダンスがあそこまでできるというのは、いいなと思っていて。嶺亜も麗乃も鳳翔(大)さんもダンスを経験されているのでできるんですけど、ハートビートマーケットの店員たちはテクニックよりも見せ方が大事だと思っているので。店員たちは、”個性豊か“という方向に頑張っています。大光の中にあるダンスのパワーってすごく感動するので、感情をダンスで表現してほしいと思っています。

三浦さんから見る中村嶺亜さんの印象は?

嶺亜は、一年前より自分が責任を取っていくという意識がより高くなって、男っぽくなった印象です。一度経験して、自分が背負うべきものが分かったんだと思います。ゴタンダくんという役は、すごくなよなよしているんですけど、嶺亜自身はリーダー気質をちゃんと持っている。稽古場でも率先してみんなに話しかけていますし、とにかくコミュニケーション能力が高いです。

佐々木大光さんは?

大光は一言でいうと「天才肌」というイメージです。あと、負けず嫌いなんです、たぶん。なので努力をしている姿を見せたくない子なんじゃないかと私は思っています。練習している姿を見せるわけではなく、いつの間にか作ってきているから、「すごいよな、大光」て、いつもみんなを唸らせている。だからその先を見たくなって厳しく言っております(笑)。今は沸騰をさせているところです(笑)。

中村麗乃さんは?

麗乃はめちゃくちゃ可愛くて一見大人しそうに見えるんですけど、芯がすごく強い。麗乃が演じるチサちゃんは、もともと大きな目的があってスーパーにいる事自体物語の肝になるんですね。そこを麗乃と話をした時に、チサが抱える寂しさや弱さをちゃんと考えて演じてくれようとしていたので、役の裏をしっかりと表現できる女優さんだと思いました。あとは、負けず嫌いです。2人目の(笑)。だから麗乃と大光には、「それでいいんだ、へえ」ってわざと言い方を変えながらやっています。2人ともできると思っているので(笑)。

そんな3人のお話に必ず出てくるのが宮下雄也さんです。三浦さんから見る宮下さんはどのような方でしょうか?

役者として見習うべきアイディアの宝庫ですね。「宮下くんの演技を見て笑ってる場合じゃないぞ」って、みんなに言ってるくらいです。毎回違うことを全力でやってくるので、見ていて気持ちがいい。他の作品を観ても存在感が抜群で若者たちがツボに入ってます。大光とかキャッキャッしてますね(笑)。みんなが大好きで、面倒見もいいのでいいお兄さん的存在です。

ほんとに仲の良いカンパニーですね。

こんなに仲良くなるカンパニーも珍しいですよね。稽古場でも肉屋は肉屋の先輩に聞いているし、魚屋は魚屋の先輩に聞いてるところが、毎日見ていて面白いです。チーフがバイトを可愛がっている感じとか(笑)。

これから稽古を積み重ねていく中で期待されることはなんでしょう。

小劇場でやっていた作品をまさか日本青年館でできるとは思っていなかったので、あの劇場を埋めるのはもう役者の熱量しかないっていう話をしています。何気ない日常の話で、大事件でもない。ただ人によっては、アルバイト中にそんなことが起こることは大事件なんだっていう、その日常をどれくらいの事件性を持って伝えられるかだと思っています。

前回とはステージの大きさも違うので表現の幅も変わってくるのでしょうか。

そうですね。昨年は円形のステージだったのでやることが全く変わって見せ方も違ってきます。いきなり大きな家を与えていただいてちょっとテンパっていますが(笑)、ステージの隅から隅までを使って見せていけるように頑張ります。

幻の1公演を観られた方も楽しめそうですね。

オープンニングから変わっていますので、あの1公演を観られた方もぜひ、新しいものだと思って観ていただけたら嬉しいです。また、新キャストの藤原(祐規)くんが、2010年公演にも出ていて、11年の時を経てチーフとなって迷惑をかけられる側をどう演じるのかも楽しみです。当時の「スーパーヒーローイズム」を観られた方も楽しんでいただけると思います。

もし、三浦さんがハートビートマーケットで働くならどの売り場を希望されますか?

初演では、演者として肉屋をやっていたので、肉屋に思い入れがすごくありますね。あと、宮下くんがやっているようなチーフがいたら大好きだと思います(笑)。あんなフリーダムに遊んでも怒られないって、理想のバイト先だと思ってました(笑)。

では、最後に本作を楽しみにしているお客さまへメッセージをお願いします。

世界が変わって今はとても苦しい時期だと思うんです。だからこそ、ひたすら明るく、こういった日常を取り戻せることを願って明るい気持ちになってほしいです。普通なんですけど、その普通を取り戻したい、みんなで。と思っています。あと、肉屋みたいなバイト先があったら働きたいなとか私が思ったように、どの世代の人が見てもめくるめくものがあるような気がしているので、自分だったら・・と、誰かの気分になって観てもらえたら嬉しいです。

三浦香さん、ありがとうございました!

プロフィール
三浦香(みうら かおり)
玉川大学文学部芸術学科演劇舞踊コース卒業。自身の劇団Func A ScamperS 009にて脚本・演出を担当。若手演出家コンクール2003優秀賞受賞など。
主な作品に『テニスの王子様4th』『Oh My Diner』『Club SLAZY』『最遊記歌劇伝』『LikeA』脚本・演出、舞台版『PSYCHO-PASSサイコパスChapter1-犯罪係数-』『七色いんこ』演出など。フジテレビ系列『乙男』スピンオフ『湿男』、NHK BSプレミアム『彼女のこんだて帖』脚本。


公演概要
ミュージカル「SUPERHEROISM」
【出演】中村嶺亜(7 MEN 侍/ジャニーズJr.)/佐々木大光(7 MEN 侍/ジャニーズJr.) 中村麗乃(乃木坂46) 井阪郁巳 石賀和輝 森田力斗/伊藤修子 宮下雄也 鳳翔大 藤原祐規 日野陽仁/なだぎ武
【作・演出】三浦香
【日時・場所】
<東京公演>2021年6月18日(金)〜25日(金) 日本青年館ホール
<大阪公演>2021年7月3日(土)・4日(日) COOL JAPAN PARK OSAKA WWホール
【チケット料金】全席指定 9,500円(税込) ※未就学児童入場不可
【チケット一般発売日】2021年6月6日(日)10:00
【お問合せ】
東京公演:キョードー東京 0570-550-799(オペレーター平日11:00~18:00/土日祝10:00~18:00)
大阪公演:キョードーインフォメーション 0570-200-888(月~土 11:00~16:00 ※日祝休業)
【公式HP】www.superheroism.jp/
【公式twitter】@SUPERHEROISM_jp