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木村達成が追い求める理想の自分とは? ミュージカル『ジャック・ザ・リッパー』まもなく開演!

19世紀末にイギリスのロンドンで起きた猟奇連続殺人事件をモチーフにしたミュージカル『ジャック・ザ・リッパー』が、9月9日(木)より日生劇場を皮切りに上演される。本作は、通称“切り裂きジャック”による実在した事件を、チェコ共和国でミュージカルとして創作され、その原作に韓国独自のアレンジを施した作品。今回が日本初上演となる。外科医ダニエル役を木村達成と小野賢章のダブルキャストが演じ、それ以外にも、加藤和樹、松下優也、堂珍嘉邦、May’n、エリアンナ、田代万里生など豪華な俳優が揃った。そこで、数々の舞台で活躍を続ける木村達成に、本作の魅力や意気込みを聞いた。

―韓流ミュージカルとして大ヒットを記録したミュージカル『ジャック・ザ・リッパー』。その日本初演への出演が決まった時の気持ちを聞かせてください。

とても嬉しかったです。本作が上演される日生劇場は、ミュージカル『ラ・カージュ・オ・フォール〜籠の中の道化たち〜』(2018年)というグランドミュージカルで、初めて立たせてもらった歴史ある劇場ですし、その場所にもう一度立つことができるので光栄です。しかも、今作は日本初演ですから、この作品を日本で最初に立ち上げるメンバーに選ばれたことにも感謝しています。それから、KAAT神奈川芸術劇場プロデュース「音楽劇『銀河鉄道の夜2020』」(2020年、以下『銀河鉄道の夜』)で、演出の白井晃さんとご一緒した時に、コロナ禍でもお客様に演劇を届けようとされる熱い気持ちに触れて感動したので、再び白井さんと作品を作ることができる喜びもありますね。

―ここまでの稽古はいかがでしょう。

楽しいです(笑)。今作は時間軸が交錯しながら展開する舞台になっています。多くの場合だと暗転などをして時間軸を変えていきますが、今作では舞台の上にいる僕たちの動きや表情で時制が変わったことを伝えようとしています。時間や空間を僕らが捻じ曲げなければならないので、そこが難しいところですが、同時にやりがいのある作品だと思って稽古をしています。

――木村さんが演じるダニエルの役どころを教えてください。

良心の塊のような外科医で、自分が善人であるという自覚を常に抱いています。ただ、愛する者の死によって感情をコントロールできなくなり、やがて悲しい事件が起きてしまいます。他者を愛する気持ちが強い人物だと思います。

―どのように演じようと思っていますか。

ピュアな心のダニエルを素直に演じてみたいですね。ただ、それを意識しすぎるとかえってお客様にお芝居の真意が伝わらなくなるので、頭の隅では意識しながら、あまり意識せずに演じるという繊細なラインを行き来しつつ、ダニエルとして丁寧に呼吸をしたいです。

―ダニエルに共感できる部分はありますか。

ダニエルは思いの丈を伝えようとすると、自分の心の内をすべて告白してしまう性格ですが、僕も包み隠さず思ったことを喋ってしまうタイプ(笑)。僕は悪い人はこの世の中にいないと思っているので、他人を疑ったりしないところは似ているかな(笑)。

―公式サイトでは歌唱動画(参照リンク:https://youtu.be/xcsk9nm-_Mw)もアップされていますが、今作のナンバーはいかがですか。

ストーリーのダークな部分をより際立たせる楽曲もあれば、お客様の気持ちを溌剌とさせるナンバーもあって。かと思えば、愛する想いをしっとりと伝えるバラードや踊り出したくなるポップな曲もある。バラエティー豊かなナンバーが揃っていますし、お客様の心に訴えかけるように歌いたいですね。今作は音楽だけでも楽しめますし、そこにお芝居が加わったミュージカルなので、つまらないわけがない!(笑)

―(笑)。先にもおっしゃられたように、演出はKAAT神奈川芸術劇場で芸術監督を務められた日本を代表する演出家の白井晃さんです。

昨年ご一緒した『銀河鉄道の夜』もそうでしたが、「俳優が舞台で役を演じて初めて作品という書物のページをめくれることをイメージしながら、お客様を舞台の世界に導いてください」とおっしゃっていて。今作は僕たちが空間を切り開いてお客様を作品世界に案内するケースが多いので、白井さんのおっしゃっていることを大切にしたいし、僕たち俳優を信頼して任せてくださる素敵な演出をされる方だと思います。それからライティングやセットに対する考え方も素晴らしくて。『銀河鉄道の夜』の光の使い方やセットに対するこだわりには感動しましたし、白井さんの魅力は奥が深すぎて、すべてを語り尽くすのは無理ですね(笑)。

―あはは。ちなみに、木村さんはデビューして以来、数々の舞台を経験してきましたが、俳優として心境の変化はありましたか。

もともと心配性だったのですが、俳優を続けて成長するにつれ、少しずつ解消されてきた気がしますね。もちろん、どの舞台も本番が始まる前は、センシティブでナイーブになりますが、今作を含め楽しい稽古をしながら精進してきたおかげで、作品に対する立ち向かい方や振る舞いも変わって、俳優として自信がついてきたことを実感しています。

―コロナ禍で演劇ができなくなった影響もありましたか。

ありますね。みなさんのお仕事がピッタリ止まってしまい、そこから公演が再開して舞台に出演した時に、演劇への接し方が変わり、言葉の持つ責任を理解しながら台詞として発することができるようになって。当たり前だったことが当たり前ではなくなった時代と対峙したからこそ、舞台を上演できることの有難さに気づかされながら、自分自身を成長させることができました。まだまだ成長段階ですが、周りの誰かに求められた“木村達成”になろうとするのではなく、僕自身の心と真摯に向き合ったからこそ見つけられる“木村達成”になりたいです。

―俳優を続けてきたからこそ、本来の自分の姿のありかを見つけられたわけですね。それでは、今作の見どころはありますか。

作品全体を堪能してもらいつつ、加藤和樹さんと堂珍嘉邦さんのダブルキャストが演じるジャックと、僕と小野賢章さんが演じるダニエルのやりとりがかなり刺激的なシーンに仕上がっているので、目を凝らしてご覧になっていただきたいです。

―では、最後にお客様にメッセージをお願いいたします。

残暑の厳しい最中に劇場に足を運んでくださるお客様に感謝しながら、その熱気に負けない、さらに熱い作品にします(笑)。緊張感と緊迫感で一瞬も気を許すことができないシーンの連続ですし、その瞬間を味わいに日生劇場にいらしてくださると嬉しいです。

■プロフィール
木村達成(きむら・たつなり)
1993年12月8日生まれ、東京都出身。主な出演舞台にはミュージカル『テニスの王子様』、ライブ・スペクタクル『NARUTO-ナルト-』、ハイパープロジェクション演劇『ハイキュー!!』、舞台『魔界転生』、ミュージカル『ロミオ&ジュリエット』、ミュージカル『エリザベート』、ミュージカル『ファントム』、TOHO MUSICAL LAB.『CALL』、ミュージカル『プロデューサーズ』、ミュージカル『The Last 5 Years』などがある。出演待機作には、ミュージカル『四月は君の嘘』(2022年5月上演予定)がある。

取材・文 / 竹下力


公演概要
ミュージカル『ジャック・ザ・リッパー』
【出演】
ダニエル:木村達成・小野賢章(Wキャスト)
アンダーソン:加藤和樹・松下優也(Wキャスト)
ジャック:加藤和樹・堂珍嘉邦(Wキャスト)
グロリア:May’n
ポリー:エリアンナ
モンロー:田代万里生

朝隈濯朗 伊佐旺起
石井雅登 齋藤桐人 常川藍里
水野栄治 森内翔大 りんたろう
碓井菜央 岡本華奈 熊澤沙穂
香月彩里 菅谷真理恵
ダンドイ舞莉花
永石千尋 橋本由希子

【作曲】Vaso Patejdl
【作詞】Eduard Krecmar
【脚本】Ivan Hejna
【演出】白井晃
【日時・会場】
<東京公演>2021月9日9日(木)~9月29日(水)日生劇場
<大阪公演>2021年10月8日(金)~10日(日)フェニーチェ堺 大ホール
【チケット料金】
東京公演:S席:13,500円/A席 9,000円/B席 4,500円 ※全て税込み価格 ※未就学児童入場不可
大阪公演:S席 13,500円/A席 9,000円/フェニーチェシート 18,500円 ※全て税込み価格 ※未就学児童入場不可
【お問合せ】
東京公演:ホリプロチケットセンター:03-3490-4949
大阪公演:キョードーインフォメーション:0570-200-888
【公式HP】https://horipro-stage.jp/stage/jacktheripper2021/
【公式twitter】@musicaljack
【公式Instagram】@musicaljack2021