鹿賀丈史&市村正親らレジェンドと内海啓貴ら新しい俳優のケミストリーが歴史ある作品に新風を吹かせる。ミュージカル『ラ・カージュ・オ・フォール』開幕!
あなたも今日から誰かを愛したくなる鹿賀丈史と市村正親、ミュージカルのレジェンドが贈る『ラ・カージュ・オ・フォール』開幕。
「ありのまま」の自分を受け入れて「今この時」を懸命に生きることの素晴らしさを讃えるミュージカル『ラ・カージュ・オ・フォール』は、世界に蔓延るシニシズムを蹴飛ばし、ひたすらハッピーなバイブスに満ちて、多様な“愛”を求める我々を肯定してくれる。そんな舞台の公開ゲネプロが3月7日(月)に東京の日生劇場にて行われ報道陣に公開された。舞台は南仏サントロペのナイトクラブ「ラ・カージュ・オ・フォール」。オーナーのジョルジュ(鹿賀丈史)と、彼のパートナーである看板スターの“ザザ”ことアルバン(市村正親)は事実上の夫婦として生活してきた。そしてジョルジュには、彼の過去の過ちで産まれた最愛の息子ジャン・ミッシェル(内海啓貴)がいる。アルバンは母親代わりとして、彼を大事に育て続けた。そんなある日、ジャンは結婚を宣言する。相手は保守的な政治家ダンドン夫妻(今井清隆と森久美子)の娘アンヌ(小南満佑子)。彼らがジョルジュたちに会いに来ると聞き、ジャンたちは実の母親を呼んでその場を乗り切ろうとするのだが……。
スポットライトを浴びて青いスパンコールのジャケットを羽織ったジョルジュ(鹿賀丈史)が舞台の開幕の合図を伝えると、ショーダンサー“カジェル”たちのショーから本作が始まる。キラキラ輝く豪華なセット。煌びやかな衣装。シルキーでウォーム、楽天的で無邪気な手触りのジェリー・ハーマンの音楽。そんな曲のメロディに乗せて、とても力強く、だが時として切ない歌声が響き渡る。冒頭でカジェルたちが歌う「ありのままの私たち」から思わず身体が躍り出してしまう。
ハンナ役の真島茂樹を筆頭に、カジェルたちは個性豊かで色鮮やか。歌って激しくダンスしながら今作のモチーフである“純粋な愛”を一途に体現している。長くに渡り本作のカンパニーに貢献しているキャストたちは見応え充分。阿吽の呼吸で繊細な感情のやり取りをしながらリアルな人間像を仕立てる。新キャストのジャン・ミッシェル役の内海啓貴は透明感のある芝居、力感を感じさせない歌声が美しい。彼がソロで歌う『アンヌと腕を』は清らかで伸びやかな声が圧巻だった。アンヌ役の小南満佑子のダンスは柔らかくてしなやか、声の張りもブレない。アルバン役の市村正親は、心境が目まぐるしく変わるのに合わせて変幻自在に気分を使い分け、アルバンの心の襞を仔細に表現する。何をしても憎めないお茶目でキュートな芝居だった。ジョルジュ役の鹿賀丈史は、ダンディーでユーモアに溢れ、誰もが温かい気持ちになれる包容力のある優しく愛おしい芝居を見せた。
コメディーという枠組みを借り、多くの欠点と矛盾を抱え、くたびれて怯えながら、それでも懲りずに永遠の愛を求めて生きる人々の純真な姿が生き生きと描かれている。本作も過去の上演に勝るとも劣らない今なお色褪せない金字塔的作品としての地位を築いている。
ゲネプロの前に囲み取材が行われ、鹿賀丈史、市村正親、真島茂樹、香寿たつき、今井清隆、森公美子が登壇した。初日を8日に控え、ジョルジュ役の鹿賀は「今回で5回目の出演になりますが、コロナ禍でお芝居をすることの意味を考えながら稽古をしてきました。その中で、今だからこそ今作のメッセージを真摯に伝えたいと思っています」と語ると、ザザことアルバン役の市村は「私が初めて今作に出演して30年経ちました。私自身もザザの年齢に近づき、ようやく本当のザザを演じることができると思います」と意気込む。ハンナ役の真島は「私の役はカジェルのメンバー。日本初演の頃からのお付き合いで、37年になります。カジェルたちにはそれぞれ個性があります。そんな私達でザザを一生懸命支えたいと思います」と語った。ジャクリーヌ役の香寿は「鹿賀さんと市村さん、ミュージカルのレジェンドおふたりだけでなく、皆さんとご一緒できることが私にとって宝物です」と述べた。エドワール・ダンドン役の今井は「カンパニーのチームワークが素晴らしく、そんな僕らが劇場に創り出す素敵な空間を楽しんでください」と語った。マリー・ダンドン役の森は「大変な時期ですが、感染対策はきちんとして、いまの時代に見合った演出になっています。皆さん楽しみにしてください」と述べた。最後に鹿賀は「こういう状況で劇場に来るのをためらう方もいらっしゃるかと思いますが、本作の出来が今までの中で一番良いと思っていますし、それだけの熱量を注ぎ込みました。怖がらずに劇場に足を運んでくだされば幸いです」と述べ、市村は「これまでもお客様と一緒に『今この時』を愛して生きようと歌ってきました。マスク越しでこちらから見えなくとも皆さんと歌うことができれば嬉しいです。ぜひ劇場にいらしてください」と語り、会見を締めくくった。
東京公演は30日(水)まで日生劇場にて。その後、愛知、富山、福岡、大阪、埼玉を巡演し、5月8日(日)に大千秋楽を迎える。
取材・文 / 竹下力
公演概要
ミュージカル『ラ・カージュ・オ・フォール 籠の中の道化たち』
【出演】
ジョルジュ役:鹿賀丈史
ザザことアルバン役:市村正親
ジャン・ミッシェル役:内海啓貴
アンヌ役:小南満佑子
ハンナ役:真島茂樹
ジャクリーヌ役:香寿たつき
エドワール・ダンドン役:今井清隆
マリー・ダンドン役:森公美子
花井貴佑介
林アキラ
日比野啓一
園山晴子
附田政信
佐々木誠
高木裕和
松谷嵐
渡辺崇人
榎本成志
丸山泰右
鯨井未呼斗
齋藤信吾
佐野隼平
澤村亮
島田連矢
瀬沼真幸
出口栄一
中川賢
山科諒馬
りんたろう
岡久直哉
中島祐太
髙橋桂
多岐川装子
浅野実奈子
篠崎未伶雅
【作詞・作曲】ジェリー・ハーマン
【脚本】ハーヴェイ・ファイアスタイン
【原作】ジャン・ポワレ
【翻訳】丹野郁弓
【訳詞】岩谷時子、滝弘太郎、青井陽治
【演出】山田和也
【オリジナル振付】スコット・サーモン
【主催・企画製作】東宝/ホリプロ
<東京公演>2022年3月8日(火)~30日(水)日生劇場
<愛知公演>2022年4月9日(土)~10日(日)愛知県芸術劇場大ホール
<富山公演>2022年4月16日(土)~17日(日)オーバード・ホール
<福岡公演>2022年4月22日(金)~25日(月)博多座
<大阪公演>2022年4月29日(金・祝)~5月1日(日)梅田芸術劇場メインホール
<埼玉公演>2022年5月7日(土)~8日(日)ウェスタ川越 大ホール
【チケット料金】※全て税込み価格 ※未就学児童入場不可
東京公演:S席 14,000円/A席 9,000円/B席 4,500円
愛知公演:S席 14,000円/A席 11,000円/B席 8,000円
富山公演:S席 14,000円/A席 9,500円/B席 6,000円/U-25(引換券) 4,000円/車椅子席 14,000円
福岡公演:A席 14,500円/B席 9,500円/C席 5,000円
大阪公演:S席 14,000円/A席 9,000円/B席 5,000円/U-25チケット 8,500円
埼玉公演:S席 13,500円/A席 8,500円/B席 3,500円
【お問合せ】
東京公演:ホリプロチケットセンター:03-3490-4949
愛知公演:キョードー東海:052-972-7466
富山公演:北日本新聞社事業部:076-445-3355
福岡公演:博多座電話予約センター:092-263-5555
大阪公演:梅田芸術劇場:06-6377-3800
埼玉公演:ウェスタ川越:049-249-3777
【公式HP】https://www.tohostage.com/lacage/index.html
【公式twitter】@lacageJP